イタリア国鉄では、急曲線の多い在来線を用いた高速運転に対応させるため、かねてより振り子装置の開発に熱心でした。数々の研究成果を元に振り子機能を搭載した高速列車、ETR450「ペンドリーノ」を開発して営業に投入、その後も振り子装置の技術を継承したETR460を量産していましたが、後に開通した高速新線「ディレッティシマ」では、カーブでの速度制限を考慮せずに、250キロ以上の高速運転することが可能となりました。このディレッティシマは、主要都市間を順次結ぶ計画となっていたため、将来的にこの高速新線で250キロ以上の高速運転をするために開発されたのが、振り子機能を持たないETR500型です。
ETR500が、振り子式車両であるETR450や460と根本的に違うのが動力方式で、電車方式を採用した振り子車両と異なり、動力集中方式を採用しました。一見すると編成された電車の様ですが、実質的にはE404型という機関車が中間に客車を挟んで運転する、フランスのTGV等と同じ方式となっています。
1988年、最初期の試作車両として登場したのがETR500Xと呼ばれる編成で、機関車のE404-000型と中間客車が試作されました。更にこの試作車両を元に、量産車のベースとして1989年から90年に掛けて登場した量産先行試作車がETR500Yです。このETR500Yは、機関車2両の中間に9両の客車を挟んだ編成となっており、E404-001〜004の4両の機関車と、中間客車18両が製造されました。ボディデザインは、いずれもフェラーリなどを手掛ける著名なカーデザイナー、ピニンファリーナが担当しています。
最初に登場したE404-000号機では、車体重量が80tとなっており、その後登場したE404-001〜004号機では76tとなっています。また最高出力は共に4000kwとなっており、最高速度は275キロで設計されていました。
これらの試作車で長きに渡って試運転が続けられ、1995年になって満を持して誕生したのがETR500の量産車です。機関車は100番台の番号が与えられ、E404.1と呼ばれており、試作車のE404.0と区別されています。この100番台では300キロ運転に対応させるため、最高出力は4400kwに高められ、また重量は将来のフランスLGV路線への乗り入れを考慮し68tにまで軽量化され、特に軸重の軽量化が図られました。中間客車は、当初予定の9両から11両(1等車4両・食堂車1両・2等車6両)へと変更されています。またデザインは試作車と同様ピニンファリーナが担当しており、試作車のデザインを踏襲しつつも、年月を経た分のモディファイを行っています。
E404.1は100〜159号機の合計60両が製造され、中間に客車11両を挟んだ30本の編成で、イタリア国内のES★ に活躍中しています。特にローマ〜フィレンツェ間の最初のディレッティシマ区間では、最高250キロ運転を行っています。なお、非振り子車両の編成番号では01〜30を使用しています。
ETR500はその後、現在建設中の高速新線が交流25000Vで建設されることが決定したため、機関車は2電源方式とする必要がでてきました。そのため、1999年以降に増備された新たな60両30編成分の機関車は500番台(E404.5)へと進化しており、100番台の機関車は順次、新たに60両製造される600番台(E404.6)へ取り替えられる計画となっています。編成を外された100番台の機関車はその後、中間にGrandConfort型やUIC-Z1型客車を組み込み、ICで営業する計画があるようです。結果として、E404.1は300キロでの営業に使われることなく、新たな活躍の場へと移り行くようです。
なお、役目を終えたETR500X・Yの各試作車両ですが、ETR500XのE404-000号機は廃車となり、一方のETR500Yの2編成も、一時はチャーター列車などで使用されていましたが、現在は運用を外れて機関車は廃車されましたが、中間客車は高速試験車両へと改造され、2006年に31番編成に組み込まれて352キロのイタリアスピード記録を更新しました。